はじめに
SEEDAとR-指定による新曲「ちょっちゅね!!!」のミュージックビデオがYouTubeで公開されました。この楽曲は、SEEDAのアルバム『親子星』のデラックス版に収録され、12月10日より各種配信サービスでリリースされています。地下シーンから這い上がってきた2人のレジェンドが、現役チャンプとしての威厳を示す、ユーモアとスキルが融合した一曲となっています。
楽曲の背景
RAPSTAR 2025での共演
SEEDAとR-指定は、ABEMAで配信されているオーディション番組「RAPSTAR 2025」で、前シーズンから続投して審査員を務めており、番組を通じて共演する機会が増えました。この番組での共演が、今回のコラボレーション楽曲につながったと考えられます。
「RAPSTAR 2025」は過去最多となる6,780名の応募者を集め、最終的にPxrge Trxxxperが優勝しました。SEEDAは番組史上最多となる7回目の審査員参加、R-指定は4回目の審査員参加となっており、両者とも日本のヒップホップシーンを牽引する存在として活躍しています。
親子星 Deluxe Album
「ちょっちゅね!!!」は、SEEDAが2025年3月にリリースしたアルバム『親子星』のデラックス版に収録されています。
『親子星』は、2012年の『23edge』から約13年ぶり、通算11作目となるアルバムです。オリジナル版は全13曲で構成され、VERBALとの和解ソング「L.P.D.N.」が大きな話題を集めました。12月10日にリリースされたデラックス版には全23曲が収録されており、R-指定をはじめ、STUTS、JJJ、BES、Bonberoなど豪華アーティストが参加しています。
タイトルの意味
「ちょっちゅね」とは
「ちょっちゅね」とは、元ボクシング世界王者・具志堅用高の「そうですね」という口癖を、片岡鶴太郎がモノマネでデフォルメしたものです。息を前に飛ばすような語感と、どこかとぼけたユーモアのある言葉です。
この言葉の選択には深い意味があります。具志堅用高は13度の防衛に成功した世界チャンピオンであり、引退後も国民的な人気を保ち続けているレジェンドです。SEEDAとR-指定という2人のチャンプが、現役時代の具志堅の強さと、現在の親しみやすいキャラクターの両面を重ね合わせています。
楽曲の特徴
サウンドとプロダクション
プロデュースはHOLLY、アレンジはD3adStockが担当し、レコーディングもD3adStockが行っています。トラックは、アジアから中東系のボイスサンプルが挑発的に鳴り響くビートになっています。
このエキゾチックなサウンドは、2人のグローバルな視点とストリートからの叩き上げという出自を表現しています。
リリックのテーマ
2人は地下からのし上がってきた「本物」の誇りを高らかに掲げ、商業主義や外野の声には「ちょっちゅね」と軽くいなしていきます。
楽曲では次のようなフレーズが繰り返されます:
- 「Champion like GUSHIKEN ちょっちゅね」
- 「超パンチラインドランカー ちょっちゅね」
- 「聞いてねー君の意見 ちょっちゅね」
- 「受け流して9次元 ちょっちゅね」
さらに、外野からよくある批判に対しても「ちょっちゅね」で返答:
- 「バトルでないんですか? ちょっちゅね」
- 「昔の方が良かった ちょっちゅね」
- 「カンガルーみたいな身体 ちょっちゅね」
これらのリリックは、「ちょっちゅね」をただの言葉遊びで終わらせず、自分たちは今も闘い続ける「現役チャンプ」であるという宣言を、かつての具志堅用高の姿と重ねながら表現しています。
制作クレジット
歌詞の共同制作(Co-Writer)には、SEEDA本人に加え、R-指定、HAM384、D3adStock、Bonberoの名前が連なっています。SEEDAはかねてから歌詞の共同制作を行っていることを公言しており、今回もチームでの制作アプローチが取られています。
ミュージックビデオの制作には、監督をHAM384、CG監督をUTTAN、CG編集とロゴデザインをWONHEEが担当するなど、細かくクレジットされています。
2人のアーティスト
SEEDA
1980年生まれ、東京都出身のラッパー。バイリンガルスタイルのキレのあるラップでストリートの詩情を切り取り、2006年発表の記念碑的作品「花と雨」をはじめとする数多くのクラシックを生み出しています。
主に若手の楽曲を集めたミックスCD「CONCRETE GREEN」シリーズを2006年からDJ ISSOと制作し、日本のヒップホップシーンのイノベーターとしても活躍しています。また、2017年からはYouTube番組「ニートtokyo」を主宰しており、楽曲以外のクリエイションの評価も高い存在です。
R-指定
大阪府堺市出身のラッパー。2015年にDJ松永とCreepy Nutsを結成しました。日本最高峰のMCバトル大会「ULTIMATE MC BATTLE」(UMB)大阪大会にて5連覇、2012年、2013年、2014年には全国大会で優勝し、史上初の全国3連覇を成し遂げました。
2024年1月にリリースしたCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」は、iTunesヒップホップチャートにて10カ国以上で1位を獲得、Billboard Global 200でトップ10入りするなど、世界的にヒットしています。MCバトルとエンターテインメント両面で圧倒的な実績を持つラッパーです。
楽曲の意義
世代を超えたコラボレーション
SEEDAは1980年生まれ、R-指定は1991年生まれと、約10歳の年齢差があります。SEEDAは2000年代初頭から日本語ラップシーンを牽引してきたレジェンドであり、R-指定は2010年代以降にMCバトルを通じて頭角を現し、現在は商業的にも最大級の成功を収めているアーティストです。
この2人が「地下から這い上がってきた本物」として共闘する姿は、日本のヒップホップシーンの歴史そのものを体現しています。
ユーモアとプライド
「ちょっちゅね!!!」の最大の魅力は、深刻になりすぎずユーモアを交えながら、確固たるプライドとスキルを示している点です。ノリの良さとスキルの鋭さが混ざり合う、SEEDA × R-指定にしか作れない一曲に仕上がっています。
批判や雑音に対して真正面から反論するのではなく、「ちょっちゅね」と軽やかに受け流しながら、実力で黙らせる。これは、本物のチャンピオンだけが持つ余裕の表れです。
ミュージックビデオ
MVには制作に関わったスタッフが細かくクレジットされており、プロフェッショナルな制作体制が伺えます。特別出演としてerica(egg)、Momoa Seto(egg)、D3adStockが参加しています。
ビジュアル面でも様々なネタが盛り込まれており、ファンの間では話題になっています。
まとめ
「ちょっちゅね!!!」は、SEEDAとR-指定という日本のヒップホップシーンを代表する2人のチャンプが、現役としての実力と余裕を示した楽曲です。具志堅用高の名フレーズを借りて、外野の声を軽やかに受け流しながら、自分たちのスキルとプライドを誇示する。ユーモアとシリアスさのバランスが絶妙な、2024年を締めくくるにふさわしい一曲となっています。
RAPSTAR 2025での審査員としての活動、そして『親子星 Deluxe Album』への収録と、この楽曲を取り巻く文脈も非常に豊かです。両アーティストのファンはもちろん、日本のヒップホップシーンを追っている人なら必聴の一曲と言えるでしょう。



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