Foesum – Cali Life feat. Sin2 ――ロング・ビーチが誇るGファンクの誇りと、欧州から届いたトークボックスの声

CHICANO

カリフォルニア州ロング・ビーチ。1990年代、この街はスヌープ・ドッグ、ウォーレン・G、ザ・ドーヴ・シャックなど錚々たるGファンクのレジェンドたちを輩出した聖地だ。その同じ土地で息づき、時代の荒波を乗り越えてきたグループがいる。Foesum(フォーサム)である。彼らが2014年にリリースしたアルバム『Cali Life』のタイトルトラック「Cali Life feat. Sin2」は、ロング・ビーチのプライドと、大西洋を渡ってきたGファンクへの愛が交差する、ひとつの奇跡のような楽曲だ。

Foesumの歴史は、1986年にさかのぼる。DJ GlazeとMNMstaがロング・ビーチの地元の高校で「Perfection」というDJクルーを結成したのが始まりだ。その後メンバーを増やし、自分たちのレコードを作ろうと動き出した彼らは、ロング・ビーチ最高のMCを探してドミノを引き入れ、ローランドの808ドラムマシンを購入してガレージでデモ制作を始めた。当時のロング・ビーチにいた若者たちのハングリーさが、そのままグループの原点となった。

1991年、グループはビッグ・ウェスとシュグ・ナイトと出会う。当時ニュー・エディションのボディーガードをしていた二人だ。ビッグ・ウェスが自分のレーベル「Lockdown Records」でグループに興味を持ち、程なくして「Perfection」という名前が廃止され、Foesumが誕生した。「Foesum」とはスラングで「foursome(四人組)」を意味し、T-Dubb、Wayniac、MNMsta、DJ Glazeの4人構成を表したものだ。

特筆すべきは、Foesumの歴史がGファンクの大きな流れと深く絡み合っている点だ。1992年、メンバーのWayniacはウォーレン・Gから接触を受け、アルバム『Regulate…G Funk Era』の制作を手伝うことになった。やがてWayniacは兄のTrip Loccとともに「The Twinz」として独立し、デフ・ジャム・レコーズと契約を結ぶ。さらに、Foesumとスヌープ・ドッグの繋がりはDr. Dreの名曲「Nuthin’ but a ‘G’ Thang」の一節にも刻まれている――「Perfection is perfected, so I let ‘em understand」という言葉がそれだ。

1994年にはキッド・フロストを通じてKDAY 1580のミックスマスターであるトニーGとフリオGと出会い、Eazy-Eがフリオをロサンゼルスの92.3 The Beatで共同ホストとして起用したことがきっかけとなり、Foesumは「Lil Somethin’ Somethin’」と「Listen To The Sound」を録音。それがEazy-Eとビッグ・ビート/アトランティック・レコーズの耳に届き、1995年1月にアトランティック・レコーズと契約を締結。ファーストシングル「Lil Somethin’ Somethin’」は同年夏にリリースされ、全米でヒットした。デビューアルバム『Perfection』は1996年にPenalty Records/Tommy Boyからリリースされ、Foesumの名をシーンに刻み込んだ。

そして時代は下り、2014年。Foesumは再び大きな一歩を踏み出す。Gangsta Zone RecordsからDJ AKが全曲プロデュースした『G Funk Shun』をリリースしただけでなく、並行してもう一枚のアルバム「Cali Life」の制作も進めていた。タイトルトラック「Cali Life」のシングルとビデオが先行公開され、アルバムは2014年9月3日にリリースされた。

このアルバムが注目されたもう一つの理由がある。日本向けに特別限定盤が用意され、MC Eiht、DS455、DJ Couz、Bo-Roc、Bigg Two-J、Mr. Low-Dといった豪華なゲストアーティストが参加したのだ。DS455やDJ Couzといった名古屋・横浜を代表するアーティストが収録されたことで、この作品は日本のウエストコースト・ファンのあいだでも大きな話題となった。Foesumはロング・ビーチの誇りを守りながら、太平洋を越えた絆を音楽で体現してみせた。

タイトルトラック「Cali Life feat. Sin2」でフィーチャリングを務めるSin2(シン・トゥー)という存在もこの楽曲を語る上で欠かせない。Sin2はトークボックス奏者にしてプロデューサーであり、2007年に「The Gypsy And His Talkbox」で自身を世に知らしめた。数多くのヨーロッパのファンク系アーティストとのコラボレーションで知られており、そのトークボックス・スタイルは楽器とトークボックスに均等なスペースを与えるという独自のアプローチが持ち味で、トークボックスの音が他のサウンドを圧迫せず、シンセやリズムの上を軽やかに滑るように流れるのが特徴だ。

Sin2がFoesumと交わることで生まれた化学反応は、Gファンクというジャンルが単なる時代の産物ではなく、大西洋を越えて進化し続ける生きた音楽文化であることを証明している。ロング・ビーチの空気とヨーロッパの感性が、トークボックスを介して一つのビートの上で融合する――それが「Cali Life feat. Sin2」というトラックのもっとも美しい側面だ。

楽曲が体現するテーマはシンプルにして力強い。「Cali Life」とは単なる地名ではなく、ライフスタイルであり、美学であり、誇りである。サンサンと照りつける太陽の下、インパラのシートに身を沈め、ゆったりとしたGファンクのビートに身を委ねながら生きていくこと――その哲学がこの曲には染み込んでいる。どれだけ時代が変わろうとも、ロング・ビーチから発信される「本物のカリフォルニア」への愛は揺るぎない。

Foesumのディスコグラフィを振り返れば、2025年にも『Two Thousand Twenty Foesum』をリリースするなど、30年以上のキャリアを経てなお現役で活動を続けている。それはGファンクという音楽が、流行として消費されるものではなく、血肉として生き続けるものだという何よりの証拠だ。

「Cali Life feat. Sin2」は、そのFoesumの長い旅路の中で生まれた、誇り高き一曲である。ロング・ビーチの魂と、世界中に根を張ったGファンクへの情熱が出会う場所――その音は今日も、どこかのカリフォルニアの夕暮れ時に響いているはずだ。

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