IO – Spotlight Remix feat. Kohjiya, Tete (Prod. KORK)

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はじめに

2025年9月3日にリリースされたIO「Spotlight Remix feat. Kohjiya, Tete (Prod. KORK)」は、東京、長崎、沖縄——日本各地から集まった才能が、一つのステージに立つことの意味を問いかける楽曲だ。

楽曲の基本情報

  • アーティスト: IO feat. Kohjiya, Tete
  • プロデューサー: KORK
  • リリース日: 2025年9月3日
  • 収録予定: JUST ALBUM RELOADED(2025年秋リリース予定)
  • レーベル: VERETTA SOUNDS
  • 作詞: IO, Kohjiya, Tete
  • 作曲: KORK
  • ギター: MELRAW
  • キーボード: Eiji Nakamura
  • レコーディング:
    • IO: The Anticipation Illicit Tsuboi (KHORDLINE inc.)
    • Kohjiya, Tete: Honda Ranmalu @ ACCS STUDIO
  • ミックス: The Anticipation Illicit Tsuboi (KHORDLINE inc.)
  • マスタリング: Colin Leonard at SING Mastering, Atlanta, GA
  • MV監督: MESS

アーティスト紹介

IO

元KANDYTOWNのメンバーとして知られる東京生まれのラッパー。2023年に日本武道館でのソロパフォーマンスでKANDYTOWNの活動に幕を閉じた後、ソロアーティストとして『JUST ALBUM』(2025年7月)をリリース。iTunes Storeヒップホップ/ラップ部門で1位を獲得するなど、日本のヒップホップシーンの中心的存在として活躍している。

Kohjiya(コージヤ)

2002年生まれ、長崎県長崎市麹屋町出身のラッパー/ソングライター。名前の由来は地元の麹屋町から。2014年に地元の同級生であるSHIÓLA、AURALと共にラップを始め、クリエイティブコレクティブ「MADz’s」を結成。

2024年には「この一年を自分の年にする」という決意を込めて「KJ SEASON」を掲げ、3枚のミニアルバムをリリース。『KJ SEASON 2』ではApple Music HIPHOPチャート1位を獲得した。同年、人気オーディション番組「RAPSTAR 2024」で全国5785人の頂点に輝き、一躍注目を集める。

2025年にはPOCARI SWEATのCMソング「STUTS – 99 Steps feat. Kohjiya, Hana Hope」でMステにも出演。KEIJU(KANDYTOWN)のEP「Speed Tape」にソングライターとして参加し、同作がApple Music総合チャート1位を獲得するなど、シーンの第一線を走るアーティストたちから確かな信頼を得ている。

音楽以外にもアートワークやMVディレクションなど、クリエイターとして幅広く活動中。

Tete(テテ)

1999年生まれ、長崎県平戸市出身で現在は沖縄在住のラッパー。2018年にヒップホップクルー「River Side Hollywood (RSH)」のメンバーと共に音楽活動を開始。

2025年には1stアルバム『Purple Way』、EP『to Subaru』、2ndアルバム『茈』と精力的にリリースを重ねる。セクシードリルやクラウドラップなどを取り入れたビートと鮮烈なフロウが特徴で、自身でビートメイクも手掛ける多才なアーティストだ。

独自のスタイルと情緒的なリリックで、地方発のラッパーとして確固たる存在感を示している。

KORK(プロデューサー)

日本のヒップホップシーンで活躍するプロデューサー。Shurkn Papの初期作品を手掛けるなど、アンダーグラウンドからオーバーグラウンドまで幅広いアーティストのプロダクションを担当。本作「Spotlight Remix」では、MELRAWのギターとEiji Nakamuraのキーボードを加えた、ジャズとソウルの要素を持つ洗練されたトラックを制作している。

楽曲の魅力

1. 地方から証明する本物の才能

「Spotlight 照らしてくれよSpotlight / 君を探すフロアの中 / 今もこのステージの上 / し続けてみせるよ証明」

印象的なフックは、スポットライトを浴びることへの渇望と、自らの才能を証明し続ける決意を表現している。三人に共通するのは、東京以外の場所から音楽を始め、今やシーンの中心に立っているという事実だ。

IOのヴァースにある「さんぴんを片手にTeteと北谷にいる / 長崎には2匹の山羊がいる」というラインは、まさにこのコラボレーションの本質を表している。沖縄のTeteと長崎出身のKohjiya——彼らは「地方のラッパー」ではなく、各地を代表する才能として、IOと肩を並べている。

2. Kohjiyaのストーリーテリング

「I came I came south side 田舎町dude / 背中刻んでる教会in my hood / それと俺のsquad 看板RIVER SIDE HOLLYWOOD」

Kohjiyaのヴァースは、長崎の麹屋町で育った自分のルーツを力強く宣言している。「知ってるあの手を握ったなら楽 / でも熱がねぇ勝負に興味がねぇよ俺はplayer」というラインからは、安易な道を選ばず、自らの力で勝負することへの誇りが伝わってくる。

「バインバインに熱いのをくれよまるで逆カイジ / 456賽を振らせてやるよお前に」という一節は、諏訪小学校5年生の頃からヒップホップに傾倒し、中学生時代にCD-Rを地元のクラブで売り歩いた経験を持つKohjiyaならではの、勝負師としての気概を示している。

3. TeteとRSHクルーへの言及

「さんぴんを片手にTeteと北谷にいる」というIOのラインと、Kohjiyaの「RIVER SIDE HOLLYWOOD」への言及は、本作が単なるリミックスではなく、異なる地域のクルーとアーティストが互いをリスペクトし合うコラボレーションであることを示している。

River Side Hollywood(RSH)は、TeteとKohjiyaが所属する長崎のヒップホップクルー。「背中刻んでる教会in my hood」というラインは、地元のコミュニティとクルーへの忠誠を表現している。

4. KORKのプロダクション

「KORKのビートの上じゃ鬼に金棒」とIOが言及するように、本作のビートはこのコラボレーションの基盤となっている。MELRAWのギターとEiji Nakamuraのキーボードが加わったトラックは、ジャズとソウルの要素を持ちながらも、三人のラッパーのフロウを際立たせる絶妙なバランスを保っている。

シンプルなピアノのメロディーとしっかりとしたドラムループは、ラッパーたちに自由なスペースを与え、それぞれの個性を最大限に引き出している。

5. 次世代への宣言

「Yo hold on Hold on Korkからcallだぜ yo big deal / あの間違いを愛して今IO, KJ & Me / 知ってんだろ 次は俺がわからせる番 / この街から来た本物 裏切らねぇんだよ」

Kohjiyaのこのラインは、本作のテーマを凝縮している。IOという先輩アーティストとの共演を経て、自分たちがシーンの次のステージを担う存在であることを宣言している。「この街から来た本物」という言葉には、長崎という地方都市から成り上がってきた誇りと、決してそのルーツを裏切らないという決意が込められている。

ミュージックビデオの魅力

オリジナルバージョンと同じくMESSが監督を務めたMVには、IO、Kohjiya、Teteのほか、Dony Joint、Holly Q、KEIJU、MUD、Neetzといった豪華な面々が出演。クラブのフロアを舞台に、スポットライトを浴びる三人のラッパーと、彼らを取り巻くコミュニティの姿が描かれている。

MVのビジュアルは、楽曲のテーマである「証明」を視覚的に表現している。フロアの中で君を探し、ステージの上で自分たちの才能を証明し続ける——その姿勢が、カメラワークと照明によって力強く描き出されている。

チャート成績と反響

リリース直後から、本作は各種ストリーミングチャートで好成績を記録。Apple MusicのヒップホップチャートでTOP 56に入り、iTunes Storeヒップホップ/ラップ部門では91位を獲得。SpotifyのViral 50 Japanにもランクインし、Daily Viral Songsでは47位を記録するなど、広範なリスナーからの支持を集めている。

また、LINE MUSICの「RAP WASP 2025.10」やSpotifyの「Tokyo Super Hits!」といったプレイリストにも選出され、楽曲の影響力の広がりを示している。

地方発ヒップホップの新時代

「Spotlight Remix」が示しているのは、日本のヒップホップシーンにおける地方発アーティストの台頭だ。

長崎で育ったKohjiyaは、中学生の頃に地元のクラブでCD-Rを売り、高校生でIsland State Musicと契約。2024年には「RAPSTAR 2024」で優勝し、2025年にはPOCARI SWEATのCMソングでMステ出演を果たした。

長崎県平戸市出身のTeteは、沖縄に拠点を移しながらも、地元のクルーRiver Side Hollywoodの一員としてのアイデンティティを保ち続けている。

二人に共通するのは、地方出身であることをハンデではなく、むしろ自分たちの強みとして表現している点だ。東京のシーンに染まるのではなく、自分たちのルーツを誇りに思い、そこから生まれる独自の視点をラップに昇華している。

IOがそんな二人をフィーチャリングに選んだのは、彼らが本物の才能を持ち、各地を代表するアーティストだからだ。「Spotlight」は、まさに全国から集まった本物たちが共に証明し合う場となっている。

まとめ

IO「Spotlight Remix feat. Kohjiya, Tete (Prod. KORK)」は、東京、長崎、沖縄という異なる場所から集まった才能が、一つのステージで互いの実力を証明し合う楽曲だ。

「Spotlight 照らしてくれよ」というフックは、単にスポットライトを浴びたいという欲望ではなく、自分たちの才能を世界に示し、地元のコミュニティとクルーへの誇りを表明する宣言だ。

KORKの洗練されたプロダクション、三人それぞれの個性が光るヴァース、そしてMESSが描き出すビジュアル——全ての要素が一つになって、地方発ヒップホップの新時代を告げる作品となっている。

次は俺がわからせる番——Kohjiyaのこの言葉が示すように、新しい世代が今、スポットライトの中に立っている。

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