AKLO / 221 feat. ZORN – 盟友たちの再会が生んだ待望のコラボレーション

JAPANESE

2024年10月2日にリリースされた「221 feat. ZORN」は、日本のヒップホップシーンを代表する二人のラッパー、AKLOとZORNによる2年ぶりの新曲として大きな話題を集めています。この楽曲は、両者の深い友情と音楽的な相性を物語る特別な作品として注目されています。

アーティスト紹介

AKLO(アクロ)

東京生まれメキシコシティー育ちの日本人の母親とメキシコ人の父親を持つハーフ・メキシカンのラッパーです。生後まもなくメキシコに渡り、10歳まで現地で育った後、日本、アメリカを転々としながら音楽的なルーツを築きました。

2012年にリリースしたデビュー作「THE PACKAGE」はiTunes 総合チャートで初登場1位を獲得し、その年のiTunes「ベスト・ニュー・アーティスト」への選出やシングル曲「Red Pill」がMTV VMAJにノミネートされるなど、各メディアで高い評価を集めました。

特に2014年にリリースした「RGTO」は、YouTubeでは2000万回再生以上を記録し、自身の代表曲となっています。現在もその卓越したラップスキルと多言語を操る才能で、日本のヒップホップシーンにおいて最も重要なアーティストの一人として活動を続けています。

ZORN(ゾーン)

1989年2月16日生まれ、東京都葛飾区出身のラッパーで、生活に根差した等身大のリリックと、複雑に重ねられる圧倒的な韻で評価されています。

10代の頃から、3連覇した「THE罵倒」を始め、「B BOY PARK U-20 MC BATTLE」、「ULTIMATE MC BATTLE」などのMCバトルで好成績を残し、その実力を証明してきました。2014年、般若主宰の昭和レコードに般若・SHINGO☆西成に続く第三の男として加入し、ZONE THE DARKNESSからZORNに改名しました。

2021年1月には悲願の武道館ワンマンライブを開催し、現在では日本のヒップホップシーンにおいて最も重要なアーティストの一人として確固たる地位を築いています。

歌詞の一部引用解説

【ZORN Verse 】

ここまで来た そう自己暗示
どこまで行きゃもう一安心
椅子なんてねぇのが実際のとこ
いつだって成功は失敗のもと
キングもクソもねぇ
俺らいるの雲の上

  • 「自己暗示」 → 自分で自分を奮い立たせてここまで来た、という自己肯定の姿勢。
  • 「椅子なんてねぇ」 → 音楽業界やヒップホップシーンに「安心して座れる席」なんて存在しない。常に戦い続けなきゃいけない。
  • 「成功は失敗のもと」 → 一度の成功で気を抜けばすぐ転落する。
  • 「キングもクソもねぇ」 → 誰が王だとか関係ない、自分たちはその次元を超えて「雲の上」にいる。

【Hook】

もうゲットしたMoney Power Respect
皆マネするやり方システム
とっくに攻略済みこのRap Game
CD置く場所神棚にして Rap God
二礼二拍手一礼

  • ヒップホップの価値観を象徴する 「Money, Power, Respect」 をすでに手にしたと宣言。
  • 皆が真似してくるような独自のスタイルやシステムを確立した。
  • 「CDを神棚に置く」=自分の作品が神聖なレベルに達しているという比喩。
  • 「Rap God」のフレーズからの、神社での作法「二礼二拍手一礼」へ繋げる日本的ユーモア。

【ZORN Verse】

そうゲットしたMoney Power Respect
友達なら滝沢伸介
積み重ねたキャリアは20年
あのZONEよりなっちまったビッグネーム

  • 滝沢伸介 → NEIGHBORHOOD の創設者で日本ストリートカルチャーの重鎮。交友関係の広さを示している。
  • 「20年のキャリア」=ZORNが本当に長く続けてきたことを強調。
  • 「ZONEよりビッグネーム」=2000年代の有名だったZONEを引き合いに出した言葉遊び。

マイクとペンと紙 三種の神器
億万長者でもVANSとディッキーズ

  • 「三種の神器」 → 皇位継承の象徴を、自分にとっての音楽制作ツールに例えている。
  • 大金を稼いでも「VANSとDickies」というストリート定番アイテムを履き続ける → ストリート精神を忘れない。

Rap Boys Rap Boys Whatcha Gonna Do?
俺がウィルスミスなら殴んのはグー

  • 「Whatcha Gonna Do?」は刑事ドラマ『COPS』のテーマ曲の引用。
  • 2022年アカデミー賞でウィル・スミスが平手打ちした事件を踏まえ、「自分ならグーで殴る」と言い放つ強気なパンチライン。

顔面蒼白になるバースを書く
でも嫁さんもともとガングロギャル

  • 相手が青ざめるようなバースを書く。
  • 奥さんが元ギャルという私生活ネタも混ぜる遊び心。

罰当たりなほど神がかり
このゲームじゃスタープレイヤー Ohtani-san!

  • 「罰当たり」レベルで奇跡的な活躍。
  • 大谷翔平を引き合いに、自分もラップゲームでのスター選手だと例える。

【AKLO Verse 2】

彼氏がいねぇとか近づくLadiesに
可愛がられてるLike豆柴犬
でもDOGじゃねGOD Homie

  • モテる様子を豆柴犬に例えつつ、でも自分は犬じゃなく「神」。
  • 「DOG ↔ GOD」の言葉遊び。

昔の世界じゃ敵だらけ
仲間増やし続けたLike ビフィズス菌

  • 昔は敵が多かったけど、今は仲間を増やし続けている。
  • **腸内で増える善玉菌(ビフィズス菌)**に例えるのがユーモラス。

ここまで来りゃもう敵なんかいねぇ
いまやジェラスしてるのは七福神

今や「七福神(=神様たち)」ですら嫉妬しているレベルに達した。

もう人間の敵なんていないという意味。

BACHLOGICのプロデュース

楽曲のプロデューサーであるBACHLOGICは、1979年生まれの日本の音楽プロデューサーで、「BACHLOGIC」「鋼田テフロン」「BL」「H.TEFLON」などの名義を楽曲ごとに使い分ける多彩な才能の持ち主です。音楽レーベル「ONE YEAR WAR MUSIC」を主宰し、AKLOをはじめ、SALU、KREVA、NORIKIYO、ZORNなど多くのトップアーティストの楽曲を手がけています。

AKLOとZORNの関係性

両者の関係は深く、2018年には「A to Z TOUR 2018」というジョイントツアーを開催し、全国10カ所で公演を行いました。このツアーでは、AKLO x ZORN名義での新曲も数曲制作され、その中には「Walk This Way」「カマす or Die」「BARS」などの楽曲があります。

特に2020年には「カマす or Die」、そして今回の「221」と、定期的にコラボレーション楽曲をリリースしており、二人の音楽的な化学反応は多くのファンから愛され続けています。

ミュージックビデオの注目ポイント

楽曲のミュージックビデオは映像作家のMESSがディレクターを担当し、公募で募った350人のファンがエキストラとして参加するという前代未聞の企画として話題になりました。

撮影は都内某所で行われ、楽曲の詳細は伏せられたままでしたが、参加してくれたファンたちへの感謝の気持ちを込めて、AKLOとZORNはフックのシーンの動画撮影とその動画、写真のSNSへの投稿を許可しました。このサプライズにより、AKLO x ZORN の新曲リリースの噂はSNS上で大きな話題となりました。

楽曲の意義

「221」というタイトルには特別な意味が込められていると考えられ、楽曲の長さが3分15秒となっている点も注目されます。この楽曲は、両者の長年にわたる友情と音楽的なパートナーシップを象徴する作品として位置づけられています。

AKLOの多国籍的なバックグラウンドから生まれる洗練されたフロウと、ZORNの等身大で力強いリリックが見事に融合し、日本のヒップホップシーンの現在を体現する楽曲として完成されています。

まとめ

「AKLO / 221 feat. ZORN」は、日本のヒップホップシーンを代表する二人のアーティストによる、長年の友情と音楽的な信頼関係の結晶として生み出された特別な作品です。

BACHLOGICの巧みなプロデュースワークの下で実現したこのコラボレーションは、それぞれが持つ独自の魅力を最大限に活かしながら、新たな化学反応を生み出すことに成功しています。

350人のファンがエキストラとして参加したミュージックビデオの制作エピソードも含め、この楽曲は単なる音楽作品を超えて、ファンとアーティストが一体となって作り上げた特別な体験として、日本のヒップホップシーンの歴史に残る作品となることでしょう。

今後もAKLOとZORNのコラボレーションから目が離せません。二人の音楽的な冒険はまだまだ続いていくことでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました