はじめに
2023年にリリースされたMC TYSONの楽曲「GANGSTA LOVE」は、大阪が誇るトリリンガルラッパーの新たな魅力を示す注目作品です。T’Z BEATZがプロデュースを手がけたこの楽曲は、MC TYSONの多様な表現力を存分に発揮した作品として話題を集めています。
MC TYSONとは
1991年大阪市住之江区出身のMC TYSONは、日本語・英語・アラビア語を織り交ぜたトリリンガルを駆使する稀有なラッパーとして知られています。ハードな環境で幼少期を過ごした過去を持ち、19歳でキャリアをスタートして以降、”自分の人生を音に刻む”というブレない姿勢を貫いているアーティストです。
アーティストとしての特徴
重厚かつメロディアスなフロウでシーンを牽引し、そのスタイルは聴く者の心にストレートに突き刺さると評されています。ざらついた声質を生かしたパワフルでハードコアなラップからメロディアスなフロウまで器用に使い分けるスキルを持ち、多彩な表現を可能にしています。
「GANGSTA LOVE」の魅力
楽曲の基本情報
- リリース年:2023年
- 再生時間:2分27秒
- プロデューサー:T’Z BEATZ
- 収録作品:THE MESSAGE 5
楽曲の特色
「GANGSTA LOVE」は、MC TYSONの代名詞でもあるギャングスタラップのスタイルを基調としながら、愛をテーマにした楽曲として注目されています。タイトルが示す通り、ストリートの世界観と恋愛感情を巧みに融合させた作品となっています。
耳にすんなり入ってくる言葉選びと、タイトに韻を踏みながらリアルな情景を巧みに描き出すストーリーテリングというMC TYSONの持ち味が、この楽曲でも存分に発揮されています。
歌詞の一部引用解説
冒頭hook
Gangsta love キミのため / これは全部キミのため
→ 主人公は「自分の行動も、ラップも、愛情表現もすべて君のため」と宣言しています。ギャングスタである自分の生き方を「愛の形」として相手に捧げている。
そんな暗い顔すんなよ baby / 笑っていてくれよ愛しのエリー
→ 恋人に「笑顔でいてほしい」という願いをストレートに伝える部分。ここで「愛しのエリー」と引用しているのは、サザンオールスターズの名曲をオマージュしていて、日本のリスナーに馴染みやすい愛の表現になっています。
1ヴァース目
俺はろくでなしの Ghetto boy / 君は Up town 育ちの Baby girl
→ 自分は下町・ストリート育ちの不良(ghetto boy)、君は都会的で上品な女性(uptown育ち)。出自は違うけれど惹かれ合っている。
不揃いなピースでも2人は絵になる
→ パズルのピースのように違う形でも、二人で並べば一枚の絵が完成する=相性の良さを表現。
信号待ちでKiss パパラッチにピース
→ 公の場でも堂々と愛を示す姿。スターとして注目されているのに、構わずキスすることで、愛の強さをアピール。
hook(繰り返し)
「Gangsta love」は何度も繰り返されることで、恋人への想いを強調し、アンセム的な盛り上がりを作っています。
2ヴァース目
内緒で買ったカルティエ / 次はイブサンローラン PRADA セリーヌ
→ 高級ブランドを惜しみなく贈る=愛を物質的にも表現している。
君は言う私はZARAで良い
→ そんな贅沢を望まず、気取らない姿勢の彼女。その謙虚さがまた魅力に映る。
一生一緒にいてくれや / もう分かってんだろYou’re my everything
→ あの名曲のラインを交えながら、結婚や永遠の愛を誓うライン。
全体のテーマ
- 「Gangsta」=ワルな自分の生き様
- 「Love」=そのすべてを捧げたいほどの愛
ストリートの不良少年が、都会的で清楚な女性を愛し守ろうとする物語になっており、ヒップホップ的な「荒さ」と、ポップス的な「甘さ」が同居しています
MC TYSONの現在の活動
2024年には第6作『THE MESSAGE 6』をリリースし、eyden、Watson、AK-69、YOUTHUG、Benjazzy、Jin Dogg、IO、Daichi Yamamoto、JAGGLA、Staxx Tといった日本を代表するトップアーティストたちと共演するなど、精力的な活動を続けています。
2025年1月30日には日本武道館でのワンマンライブ『KING KONG in 日本武道館』を開催し、ソールドアウトを達成するなど、その人気と実力は留まることを知りません。
まとめ
「GANGSTA LOVE」は、MC TYSONの持つ多面性を表現した楽曲として、ファンにとって必聴の一曲となっています。ハードなギャングスタラップのイメージと恋愛をテーマにした楽曲という意外性が、MC TYSONの新たな魅力を引き出している作品です。
音楽 × カルチャー × ビジネスを横断する新たなムーブメントを創出し続けるMC TYSONの今後の活動にも、ますます注目が集まります。
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