楽曲概要
アーティスト: Awich, 唾奇(つばき), OZworld, CHICO CARLITO
プロデューサー: Diego Ave
リリース日: 2023年3月15日
収録: 098RADIO vol.1 Hosted by Awich
2023年3月にリリースされた「RASEN in OKINAWA」は、沖縄出身で日本を代表するラッパーのAwichが、沖縄出身の人気ラッパー唾奇、OZworld 、CHICO CARLITOと共にマイクリレーする、HIPHOP史上に残る圧巻のパフォーマンスとして話題になった楽曲です。
Red Bull RASENプロジェクトについて
円を描いて回るカメラに囲まれた4人のラッパーがマイクをつなぎ、その円は高みを目指して上昇し”螺旋(らせん)”を形づくる。それが「Red Bull RASEN」シリーズのコンセプトで、沖縄から日本、日本から世界へと常に高みを目指し続けるAwichがテーマとして「沖縄」を提示したのがこの楽曲の始まりでした。
プロデューサー Diego Aveについて
この楽曲をプロデュースしたDiego Aveは、2回のグラミー賞受賞、11回のマルチプラチナ認定を受けたマイアミ出身のヒップホップ・レコードプロデューサーです。本名Diego Avendano、13歳で音楽制作ソフトウェアを使い始め、Dr. Dreの「The Chronic」にインスパイアされて音楽制作への情熱を育んだという経歴を持ちます。
彼の手がけた楽曲には、Post Malone、The Game、21 Savage、Futureなどビッグネームが名を連ねており、20億回以上のストリーミングを記録している世界的プロデューサーです。
楽曲制作の背景
制作過程について、Awichは「唾奇にまず最初に「やる」って言ってもらわないと進まないと思って、唾奇にいっぱい連絡してたんです。「こういうビートがあるけどどう?」みたいな。それで3つくらい送ったビートのなかのひとつが今のRASENのビート」と語っています。実際の制作順序は、唾奇から最初で、その次に私が書いたんだけど、私(のバース)を前に持ってきて。その次にOZが書いてくれて、次にCHICOが書いてくれたとのことです。
沖縄文化の融合
楽曲の大きな特徴は、沖縄の伝統音楽とヒップホップの革新的な融合にあります。OZworldは沖縄の古い民謡の『久高万寿主』っていう歌をサンプリングしました。くゆいぬ話ぬうーむっさー(今宵の話は面白い)っていう。なんでまだ沖縄に米軍基地があるの? とか、いまだに沖縄はずっと支配されていて、今も実質的には日本に支配されたままだよね、みたいなことを言っている歌があることを説明し、楽曲の社会的メッセージ性を強調しています。
歌詞の特徴
楽曲は「デイゴの花が咲き 風を呼び 嵐来た まるで THE BOOM」という印象的な歌詞で始まり、沖縄の代表的な花デイゴと島唄で有名なTHE BOOMを引用することで、沖縄のアイデンティティを強調しています。
各アーティストが織り成すバースでは、「やるワッタにしか出来ないMusic 既存の道がなくても do it 失敗は成功のもと 本当に成功の反対にあるのは何にもやらないこと」といった、沖縄出身者としての誇りと挑戦精神が込められています。
ミュージックビデオの制作
2023年5月11日19時にプレミア公開されたミュージックビデオは、Hideto Hottaが監督を担当し、アーティストそれぞれの地元や、思い入れのある場所を描いたミュージックビデオとなっています。
特に印象的なのは、4人が揃うメインのシーンは沖縄を象徴する場所の1つで2019年の火災で焼失した首里城正殿の前にある、奉神門(ほうしんもん)の前で撮影された点で、沖縄の歴史と現在を象徴的に表現しています。
商業的成功と文化的インパクト
楽曲はミュージックビデオは2,000万回再生を超える大ヒットを記録し、2023年3月に公開され、またたく間にこの1年の日本のヒップホップシーンを象徴するバイラルヒットのひとつとなったと評価されています。
Apple Music • ヒップホップ/ラップ トップミュージックビデオ • 日本 • 34位にチャートインするなど、商業的にも大きな成功を収めました。
今後の展開
この成功を受けて、2025年7月6日(日)大阪・Zepp Namba、7月13日(日)東京・Zepp DiverCityにて『RASEN OKINAWA TOUR』の開催が発表され、今後は福岡、名古屋での公演も追加予定とのことです。
まとめ
「RASEN in OKINAWA」は、沖縄というルーツを背負った4人のアーティストが、世界的プロデューサーDiego Aveとともに創り上げた、日本のヒップホップ史に残る記念すべき楽曲です。沖縄の伝統音楽とモダンなヒップホップの融合、社会的メッセージ性、そして圧倒的なパフォーマンスによって、地域のアイデンティティを世界に発信した画期的な作品として評価されています。
CHICO CARLITOの言葉通り、「沖縄は僕にとっては生まれ育った場所でもあるし帰る場所でもあるし、そこで死にたいなという場所でもある。俺は本当に沖縄への愛があるんで、っていうかありすぎる可能性があるんで、俯瞰的な見方を沖縄に対してするべきかなとは思いつつ、でももっといろんなことを良くできるだろうし、僕たち世代でさらに沖縄の音楽シーンを盛り上げられると思ってる」という思いが込められた、文化的にも音楽的にも重要な意味を持つ楽曲となりました。
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