はじめに
宮崎県出身のラッパー・GADORO(ガドロ)が2025年7月2日にリリースしたニューアルバム『HOME』。その中でも特に注目を集めているのが、3曲目に収録された「彩り七味」という楽曲だ。Yuto.com™ & Kiwyによるサウンドプロデュースで、GADOROが地元・高鍋を拠点にしたまま、変わらぬスタンスで第二章への狼煙を歌い上げる楽曲に仕上がっている。この作品は、武道館でのワンマン公演を成功させた後のGADOROの新たな決意と、故郷への深い愛情が詰まった一曲となっている。
アルバム『HOME』の背景
『HOME』は、GADOROが自身のレーベル「Four Mud Arrows」を設立後、3作目となるアルバムだ。2025年3月6日に行われた日本武道館でのワンマン公演「四畳半から武道館」を成功させた後、GADOROの「第二章」の始まりを告げる重要な作品として位置づけられている。
アルバムには、客演として般若、紅桜、ハシシ(電波少女)、FORK(ICE BAHN)、ポチョムキン(餓鬼レンジャー)、街裏ぴんくといった豪華なアーティストが参加。サウンドプロデュースには、PENTAXX.B.F、Kiwy、Yuto.com™、Cosaqu、DJ PMX、ikipedia、SUMIKI、DJ SHINODA、Madoromi、TO-me、R.I.K、CHIVA from BUZZER BEATSが名を連ね、アートワークはNOVOLが手掛けている。
『HOME』というタイトルには、GADOROの”ホーム”である宮崎県高鍋町への想いが込められている。四畳半から始まり、武道館という大舞台に立ち、そしてその先へ——。このアルバムは、GADOROの原点回帰と新たな挑戦の両方を表現した作品となっている。
「彩り七味」という楽曲の特徴
「彩り七味」は、アルバム『HOME』の3曲目に収録されており、まさにアルバムのコンセプトを体現する重要なトラックだ。サウンドプロデュースを手掛けたYuto.com™とKiwyは、GADOROのエモーショナルなリリックを引き立てる、洗練されたビートを提供している。
楽曲のミックスはD.O.I.がDaimonion Recordingsで担当し、マスタリングは塩田浩がSALT FIELD MASTERINGで手掛けた。こうした制作陣の手により、高品質なサウンドが完成している。
タイトルの「彩り七味」という言葉には、様々な解釈が可能だ。七味唐辛子のように多様な要素が混ざり合い、独特の味わいを生み出す——。それはまさに、GADOROの音楽やライフスタイルそのものを表しているとも言える。地元の風景、仲間たちとの絆、これまでの経験、そしてこれからの展望。すべてが混ざり合い、GADOROというアーティストの「彩り」を作り出している。
楽曲の内容は、GADOROが故郷・高鍋を拠点にしながら活動を続けることへの誇りと決意が描かれている。都会に出ることなく、地元に根を張ったまま全国へと活動の場を広げていく——。そんなGADOROのスタンスが、この曲には力強く表現されている。
ミュージックビデオについて
「彩り七味」のミュージックビデオは、アルバムリリース翌日の2025年7月3日19時に、GADORO公式YouTubeチャンネルでプレミア公開された。監督を務めたのは、GADOROの楽曲「ハダシノボウケン」以来のコラボレーションとなるShotaro Aiuraだ。
映像制作には、撮影監督にHirota Kikuchi、照明監督にYuto Nakashima、スタイリストにMai Hirose、ヘアメイクにNozomi Satoなど、多くのスタッフが参加。高品質なMVが完成している。制作にはFour Mud ArrowsのDJ HITOSHIがProduction A&Rとして関わり、レーベルとしての総力を結集した作品となった。
MVでは、GADOROの等身大の姿が映し出され、地元への想いや仲間との絆が視覚的に表現されている。Shotaro Aiuraの映像センスとGADOROの世界観が融合し、楽曲の持つメッセージをより深く伝える内容となっている。
「第二章」への決意
GADOROにとって2025年は、大きな転換点となる年だ。3月6日の武道館公演で、長年の目標を達成したGADORO。しかし、そこがゴールではなく、新たなスタートであることを「彩り七味」は高らかに宣言している。
「第二章」と銘打たれたこの新しいフェーズでは、GADOROはより一層自分らしさを追求していく姿勢を見せている。変わらず地元・高鍋を拠点にし、宮崎弁を織り交ぜたリリックで、リアルな日常を描き続ける。それがGADOROのスタイルであり、多くのファンが支持する理由でもある。
アルバム『HOME』のリリースに合わせて、GADOROは7月から8月にかけて全国5都市を巡る「”第二章” Zepp Tour」を開催。7月20日の札幌・Zepp Sapporoを皮切りに、大阪、名古屋、福岡、そして8月31日の東京・Zepp DiverCity Tokyoまで、全国のファンに新たなGADOROを届けた。
さらに、9月20日と21日には地元・宮崎県高鍋のたかしんホール(高鍋中央公民館)でワンマン公演を2日間にわたって開催。家族や友人、地元の人々が見守る中でのホームでの凱旋公演は、GADOROにとって特別な意味を持つものとなった。
地元への変わらぬ愛
「彩り七味」の歌詞には、GADOROの地元への深い愛情が表現されている。「もしも俺がこの街にいなけりゃ歌える歌はあるのかな」という問いかけからも、高鍋という土地がGADOROの音楽の源泉であることがわかる。
GADOROは成功しても東京などの都会に拠点を移すことなく、今も宮崎県高鍋町に住み続けている。この姿勢は、多くのアーティストとは一線を画すものだ。地元の風景、そこで暮らす人々、方言、日常——。それらすべてがGADOROの音楽を形作っている。
高鍋町もGADOROの活躍を誇りに思っており、ふるさと応援大使として町の魅力を発信する役割も担っている。地元とアーティストが互いに支え合う関係性は、まさに「HOME」という言葉の意味を体現している。
共に歩んできた仲間たち
「彩り七味」の中には、「食えるようになって出来た仲間よりも 食えるようになるまで居た仲間達と行こう」というフレーズが登場する。これは、GADOROが大切にしている価値観を端的に表している。
成功してから集まってきた人々ではなく、苦しい時代から共に戦ってきた仲間たち。四畳半での生活、客が3人しかいないライブ、バトルでの屈辱——。そうした下積み時代を共に過ごした仲間との絆こそが、GADOROの原動力となっている。
自身のレーベル「Four Mud Arrows」も、そんな信頼できる仲間たちと立ち上げたものだ。仲間を大切にし、地元を大切にし、自分のルーツを大切にする。それがGADOROの変わらないスタンスであり、「彩り七味」はそのメッセージを力強く伝えている。
おわりに
「彩り七味」は、武道館という大舞台を経験したGADOROが、改めて自分の原点と向き合い、これからの道を見据えた楽曲だ。華やかな成功の裏にある質素な日常、変わらぬハングリー精神、地元への愛、仲間への感謝——。そのすべてが、この一曲に凝縮されている。
「第二章」の幕開けを告げるこの曲は、GADOROがこれからも自分らしく、地に足をつけて音楽を作り続けていくという宣言でもある。都会の華やかさに目を奪われることなく、田舎町の風景の中に美しさを見出し、それを音楽で表現し続ける。
2026年4月には横浜アリーナでの単独公演も控えており、GADOROの勢いは留まるところを知らない。しかし、どれだけ大きな舞台に立とうとも、GADOROの音楽の根っこには常に「HOME」がある。「彩り七味」は、そんなGADOROの揺るぎない信念を感じさせる、新時代のアンセムと言えるだろう。



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