はじめに
2025年8月7日にリリースされたBarkの1stソロアルバム「South Side Story」。その2曲目に収録されている「Breath & Soul feat. Ashley」は、アルバムの中でも特に注目度の高い楽曲です。タイトルが示す通り、呼吸(Breath)と魂(Soul)というテーマを軸に、ラッパーとしての生き方、葛藤、そして決意が描かれています。さらに、次世代R&Bシンガー・Ashleyをフィーチャリングに迎えたことで、楽曲に深みと広がりが加わっています。
楽曲の基本情報
アーティスト: Bark feat. Ashley
曲名: Breath & Soul
リリース日: 2025年8月7日
収録アルバム: South Side Story(1stソロアルバム)
トラック番号: 2曲目
作詞: Bark, Ashley
作曲・プロデュース: Bark, ZOT on the WAVE, dubby bunny
再生時間: 3分17秒
ミュージックビデオ: YouTubeにて公開中
フィーチャリングアーティスト・Ashleyについて
この楽曲で重要な役割を果たしているAshleyは、1999年11月4日生まれの次世代ヒップホップR&Bシンガーです。アメリカ人の父と日本とアメリカのハーフの母を両親に持ち、英語と日本語を自在に操るバイリンガルアーティストとして知られています。
2020年、友人がTikTokに投稿したAshleyの歌唱動画が話題となり、音楽キャリアがスタート。その天性の歌声と歌唱力が女性ラッパーLUNAの目に留まり、ヒップホップ・R&Bアーティストを数多く輩出するレーベル「JCC TOKYO」と契約。2022年3月にファーストシングル「Ghost」でデビューを果たしました。
実力派シンガー・AIからも絶賛され、人気ラッパー・¥ellow Bucksの楽曲「You Made Me」にコーラス参加するなど、日本のヒップホップ・R&Bシーンで着実に存在感を示しています。その透明感のある歌声と表現力が、「Breath & Soul」においても重要な役割を果たしています。
楽曲に込められたメッセージ
呼吸というメタファー
楽曲タイトルの「Breath」は、単なる生理現象としての呼吸ではなく、ラッパーとしての息遣い、生きることそのものを象徴しています。Ashleyが歌うフックパートでは、暗闇の中で光を探し、吐き出すことでステージの幕が上がる様子が描かれています。
この「吸い込んで吐き出す」という行為は、ラップそのものの比喩でもあります。様々な経験や感情を吸い込み、それを言葉として吐き出すことで、ステージ上で観客を魅了する。そのサイクルが、ラッパーの生き様そのものだと表現されています。
バックステージの葛藤
楽曲では、華やかなステージの裏側にある葛藤が率直に描かれています。静寂と喧騒のバックステージで、どんどん大きくなっていく期待と重圧。拍手や賞賛の裏には、悩みや悔しさ、葛藤があることが語られています。
「共感や理解の外に出なきゃ与えられない衝撃」というフレーズは、表面的な共感を超えた、本物の表現を追求する姿勢を示しています。声を殺してこそ燃やせる情熱という矛盾した表現は、内に秘めた強い想いを表しているのでしょう。
もがき続けた者だけが得られるもの
「もがき続けた奴だけが得れるそれ以上の感動」という一節は、楽曲の核心部分です。簡単に手に入るものではなく、苦しみながらも諦めずに続けてきた者だけが味わえる達成感や感動があることを伝えています。
息をすることを忘れるほど一つのことに夢中になること。選んだ道をひたすら進むこと。人生はあみだくじのように予測不可能でも、自分の信念を貫き通すという決意が力強く表現されています。
自分らしさを貫く
「あいつがどうより俺はこう」というフレーズには、他人と比較することなく、自分自身の道を歩むという強い意志が込められています。これは、BAD HOP解散後、ソロアーティストとして新たな道を歩み始めたBarkの決意表明とも受け取れます。
楽曲の深層に潜むテーマ
息が詰まる街からの脱出
2番のバースでは、より深い内省が展開されます。「息が詰まる街を抜ける為息してたLife」という表現は、窮屈な環境から抜け出すために音楽を続けてきたことを示唆しています。
独りよがりだった目的が、いつの間にか色んな人の手段になっていく。自分のために始めたことが、他人の夢や希望になっていく過程が描かれています。これは、Barkが川崎のストリートから始まり、今では多くの人に影響を与える存在になったことの象徴でもあります。
生きる意味と音楽
「生きる意味はあるようでねぇ 結局生まれて死ぬだけ」という実存的な問いかけ。しかし、だからこそ「下手くそではやめられなかった唯一これだけ」と、音楽に全てを賭ける理由が語られます。
賭けるものがないなら、この人生を捧げるしかない。変われない訳じゃなく、あえて変わらない選択をする。そこには、自分自身を貫き通すという強い決意が表れています。
商品ではなく作品
「他人に値札はつけさせねえ商品じゃなく作品」という宣言は、音楽を単なる商品として扱われることへの抵抗を示しています。市場価値や売上だけで測られるのではなく、アーティストとしての表現、作品としての価値を守りたいという想いが込められています。
喉を枯らして受け継がれる声。例え死んでもビートの上で呼吸し続ける。これは、音楽を通じて自分の存在を後世に残していくという、ラッパーとしての使命感を表現しています。
プロデューサー陣の貢献
「Breath & Soul」のプロダクションを手掛けたのは、ZOT on the WAVEとdubby bunnyです。彼らの創り出すトラックは、Barkの重厚なラップとAshleyの透明感のある歌声を見事に引き立てています。
ビートのBPMが胸の高鳴りを表現し、燃え上がる炎のようなエネルギーを感じさせる構成は、楽曲のテーマである「Breath & Soul」を音楽的にも体現しています。
ミュージックビデオについて
「Breath & Soul feat. Ashley」のミュージックビデオはYouTubeで公開されており、楽曲の世界観を視覚的に表現しています。映像を通じて、BarkとAshleyのコラボレーションの化学反応を見ることができ、楽曲の持つメッセージがより深く伝わってきます。
まとめ
Bark「Breath & Soul feat. Ashley」は、ラッパーとしての生き方を「呼吸」というメタファーで表現した、深みのある楽曲です。華やかなステージの裏にある葛藤、もがき続けることの意味、そして自分らしさを貫く決意が、Barkの力強いラップとAshleyの美しい歌声によって見事に表現されています。
BAD HOP解散後、ソロアーティストとして新たなスタートを切ったBarkにとって、この楽曲は単なる過去の振り返りではありません。これからも変わらずに、自分の信念を貫き、音楽を通じて呼吸し続けるという宣言なのです。
Ashleyとのコラボレーションも絶妙で、次世代を担う二人のアーティストの共演として、日本のヒップホップ・R&Bシーンにおいて重要な意味を持つ作品となっています。
ぜひこの楽曲を聴いて、BarkとAshleyが織りなす「Breath & Soul」の世界を体感してみてください。


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