Jin Dogg – Flip feat.R-指定 (prod by. Michael Link)

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はじめに

2025年8月、日本のヒップホップシーンに大きな衝撃を与えた楽曲が誕生しました。大阪のトリリンガルラッパーJin Doggと、日本最強のバトルMCとして名高いR-指定がタッグを組んだ「Flip feat.R-指定」です。この楽曲は、ファンにとって「まさかのコラボレーション」として大きな話題となり、日本語ラップシーンの新たな可能性を示した記念すべき作品となりました。

アーティスト紹介

Jin Dogg – 大阪が生んだトリリンガルラッパー

基本プロフィール:

  • 生年月日: 1990年生まれ
  • 出身地: 大阪府生野区(在日コリアン3世)
  • 特徴: 日本語・韓国語・英語を操るトリリンガル

Jin Doggは大阪生野区で在日コリアン2世の父親と韓国人の母親のもとに生まれ、10歳の時に家族と共に韓国へ引っ越し18歳まで在住しました。韓国のアメリカンスクールで友人がフリースタイルしていたのがきっかけでラップを始めるようになり、その後日本に戻って本格的な音楽活動をスタートさせました。

音楽的特徴:

  • 押韻をあまり重視せず、関西弁を生かした、話しているようなスタイルのラップを得意とする
  • パンクロックを彷彿させるエモーショナルなライブや感情をむき出しにしたパフォーマンスが特徴
  • 時に過激なモッシュを伴う圧倒的なライヴパフォーマンスによりシーンに多大なインパクトを与える

キャリアハイライト:

  • 2016年にHibrid Entertainmentに加入し、1stミックステープ『1st High ~抱腹絶倒~』をリリース
  • 2019年12月にアルバム『SAD JAKE』『MAD JAKE』の2枚組アルバムをリリース
  • 2024年8月 Netflix 全世界独占配信アニメ『ケンガンアシュラ』エンディング主題歌『NANI?』リリース

R-指定 – 日本最強のバトルMC

基本プロフィール:

  • 本名: 野上恭平(のがみ きょうへい)
  • 生年月日: 1991年9月10日
  • 出身地: 大阪府堺市
  • 所属: Creepy Nuts、梅田サイファー

R-指定は、ULTIMATE MC BATTLE3連覇を達成した日本最強のバトルMCとして知られています。2012年、2013年、2014年には全国大会UMB GRAND CHAMPIONSHIPで優勝し、史上初の全国3連覇を成し遂げました。

音楽的経歴:

  • 中学2年生からリリックを書き始め、特にRHYMESTERの『グレイゾーン』を聴いたことをきっかけに自分で歌詞を書き、ラップを始めるようになった
  • 2013年より、DJ松永とのヒップホップ・ユニットCreepy Nutsとしての活動を始め、2017年にソニー・ミュージックエンタテインメントからメジャーデビュー
  • 2024年に配信シングル「Bling-Bang-Bang-Born」が国内外のチャートを席巻し、ストリーミング累計再生数7億回を記録

楽曲「Flip feat.R-指定」詳細解析

制作背景とコンセプト

「Flip feat.R-指定」は、Jin Doggの3rdアルバム「Pain Makes You Better」の6曲目に収録されており、このアルバムは痛みを通して強さと覚悟を手にするまでのプロセスを赤裸々に描き出した全13曲で構成された作品です。

この楽曲のコラボレーションは「ファン驚きのコラボ」として話題になり、Creepy Nutsの公式アカウントからも積極的に宣伝されました。

プロデューサー Michael Link

「Flip」の楽曲制作は、Michael Linkがプロデューサーとして担当し、DJ BULLSETが共同プロデューサーとして参加しています。アルバム全体では、MELRAW、Miss You KJ、Lil YamaGucci、Made In Crimson、DJ Bullset &TigaOne、Ronrontheproducer、Michael Link、gelato .45、Scratch Nice、youngsavagecoco、ViryKnotといった国内外の多彩なプロデューサー陣が参加しています。

楽曲構成と特徴

楽曲は印象的な「FLIP FILP FLIP FLIP IT」というフックで始まり、Jin DoggとR-指定が交互にバースを展開する構成となっています。

Jin Doggパート: Jin Doggのバースでは、彼の持つストリートの現実感と内省的な表現が際立っています。「よく言われた馬鹿でも回す頭 いつだって俺は俺のまま」といったラインで、自身のアイデンティティへの強い信念を表現しています。

R-指定パート: R-指定のパートでは、彼の持つバトルMCとしてのスキルと機知に富んだワードプレイが炸裂しています。「俺みたいな奴らにはガンガン来るくせに 怖い人にはすぐ頭を下げる」など、皮肉を込めたリリックが特徴的です。

アルバム「Pain Makes You Better」での位置づけ

アルバム全体のコンセプト

3rdアルバムとなる本作は、痛みを通して強さと覚悟を手にするまでのプロセスを赤裸々に描き出した全13曲で構成されています。「Flip」は、このアルバムの中核を成す楽曲の一つとして位置づけられています。

豪華な参加アーティスト

アルバムには、IO、guca owl、NANJAMAN、SUNADEMUS、Owen、Wuuslime、Foggyatthebottom、R-指定、Benjazzy、BES、Young Yujiro、Yujiroといった錚々たる面々が客演として名を連ねています。

ミュージックビデオとプロモーション

ビジュアル表現

「Flip feat.R-指定」のミュージックビデオは2025年8月に公開され、360 Reality Audio版も制作されるなど、音響面でも先進的な取り組みが行われました。

ミュージックビデオの撮影では、JewelrySUEHIROがロケ地および衣装提供を行い、Jin DoggとR-指定の両アーティストが来店して撮影が行われました。

シーンへの影響と意義

関西ヒップホップの結束

この楽曲は、大阪生野区出身のJin Doggと大阪府堺市出身のR-指定という、関西を代表する二人のラッパーによるコラボレーションとして、関西ヒップホップシーンの結束を象徴する作品となりました。

異なるスタイルの融合

Jin Doggの持つトリリンガルでエモーショナルなスタイルと、R-指定の卓越したバトルスキルと機知に富んだリリックという、異なる魅力を持つ二人の融合は、日本語ラップの新たな可能性を示しました。

商業的成功とクリティカルな評価

Creepy Nutsの公式アカウントが積極的に宣伝を行ったことからも分かるように、この楽曲は業界内でも高く評価され、大きな注目を集めました。

ライブパフォーマンスと今後の展開

Jin Doggワンマンライブ

2025年9月15日には、Jin Doggが地元・大阪のZepp Osaka Baysideでワンマンライブ「Jin Dogg ONE MAN LIVE -PAIN MAKES YOU BETTER-」を開催し、アルバムの楽曲群を披露しました。

このライブには、アルバムに参加したBenjazzy、BES、C.O.S.A.、Eric.B.Jr、guca owl、IO、Owen、R-指定、Watson、Wuuslimeなど豪華ゲストが出演し、「Flip」も披露されました。

まとめ

「Jin Dogg – Flip feat.R-指定 (prod by. Michael Link)」は、2025年の日本語ラップシーンにおける最重要楽曲の一つとして位置づけられる作品です。大阪という共通のルーツを持ちながらも、異なる音楽的背景とスタイルを持つ二人のアーティストが出会ったことで生まれたこの楽曲は、関西ヒップホップの多様性と可能性を世に示しました。

Jin Doggの持つ国際的な感覚とエモーショナルな表現力、そしてR-指定の卓越したライミングスキルと機知に富んだリリックが見事に融合した「Flip」は、今後の日本語ラップシーンにおけるコラボレーションの新たな指標となることでしょう。

Michael Linkによるプロダクションも、両アーティストの個性を活かしながら統一感のあるサウンドを作り上げており、楽曲全体の完成度を高める重要な要素となっています。

この楽曲の成功は、日本のヒップホップシーンがますます成熟し、多様なスタイルと背景を持つアーティスト同士のコラボレーションが新たな化学反応を生み出していることを証明しています。今後も、このような予想外の組み合わせから生まれる楽曲に注目が集まることは間違いありません。

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