はじめに
2005年、横浜ウェッサイシーンの重鎮DS455が放った「現場直行型」のハードなパーティーチューン「Throw Ya Handz Up」。この楽曲は、タイトル通り会場の観客が手を上げずにはいられない、DS455流パーティーの楽しみ方を熱いラップで伝える代表的なフロアキラーです。日本のヒップホップ史上に残る名曲として、現在でも多くのファンから愛され続けています。
楽曲の基本情報
リリース詳細
「Throw Ya Handz Up」は2005年10月12日にDS455とOZROSAURUSが立ち上げたニューレーベル「BAY BLUES RECORDZ」からシングルとしてリリースされました。これはDS455の3rdアルバム「To Myself -Believe Yourself-」からの先行シングルとして発売され、横浜ヒップホップ・シーンをリードする重鎮の2005年2枚目のシングルでもありました。
収録形態
シングルには以下の4曲が収録されています:
- Throw Ya Handz Up(メインバージョン:3分58秒)
- To Myself(3分06秒)
- Very Special Weekend (Remix)(4分09秒)
- Throw Ya Handz Up (Instrumental)(4分15秒)
楽曲の特徴と魅力
音楽的アプローチ
「骨の髄までウエストコースト・スタイル」で、「ブリブリの重低音に貫かれたフロア・チューン」として制作されたこの楽曲は、タイトル通り”現場直行型”なハードなアプローチを採用しています。DJ PMXによるプロデュースは、クラブフロアで最大限の効果を発揮するよう緻密に計算されており、重厚な低音が会場全体を包み込みます。
ラップとメッセージ
楽曲ではDS流パーティの楽しみ方をレクチャーする熱いラップが炸裂しており、Kayzabroのメロディアスでスムースなフロウが存分に発揮されています。「ベテランの凄みたっぷり」な表現力で、パーティーシーンでの盛り上げ方や楽しみ方を教える内容となっています。
アルバム「To Myself -Believe Yourself-」での位置づけ
アルバム概要
「日本の『ウェッサイ』、横浜045代表DS455がついに3rdアルバムをドロップ!」として2006年1月にリリースされた「To Myself -Believe Yourself-」は、DS455の代表作のひとつです。このアルバムでは多彩なゲストアーティストとのコラボレーションが実現しており、「Throw Ya Handz Up」はその中でも特にエネルギッシュな楽曲として際立っています。
他の収録曲との対比
アルバムにはBIG RONとの「In My Room」、SLOW PAINとの「Bigg Thang -Sukiyaki Western-」、GHETTO INC.との「To Tha Tropix」など多様な楽曲が収録されており、「Throw Ya Handz Up」はその中でも最もハードでダンスフロア志向の強い楽曲となっています。
BAY BLUES RECORDZの始動
レーベルの意義
DS455(Kayzabro / DJ PMX)、MACCHO(OZROSAURUS)が2005に横浜で立ち上げたレーベルである「BAY BLUES RECORDZ」にとって、この楽曲は重要な意味を持っています。レーベル第一弾のリリースは05/4/27にDS455がリリースした「L.I.F.E.~Livin’ In tha Far Eastside~」で、「Throw Ya Handz Up」は第2弾として横浜シーンの勢いを象徴する作品となりました。
シーンへの影響
横浜のシーンを代表する2組がシーンに投下する超話題のシングルとして注目を集め、独立レーベルとしての可能性を示す重要な作品となりました。
楽曲の評価と反響
批評家からの評価
CDジャーナルでは「骨の髄までウエストコースト・スタイル。横浜ヒップホップ・シーンをリードする重鎮の2005年2枚目のシングルは、ブリブリの重低音に貫かれたフロア・チューンで、DS流パーティの楽しみ方をレクチャーする熱いラップが炸裂。ベテランの凄みたっぷり」と高く評価されています。
トリビュート作品での再話題化
TRIBUTE TO DS455での扱い
2010年にリリースされたトリビュート・アルバム「TRIBUTE TO DS455」では、「Throw Ya Handz Up」がN.C.B.B a.k.a. NORTH COAST BAD BOYZによってカバーされ、DJ SN-Z (OZROSAURUS)がトラックを担当しました。これは楽曲の影響力と重要性を物語る出来事であり、次世代のアーティストたちによって新たな解釈が加えられました。
楽曲の永続性
トリビュート作品に選ばれたことは、「Throw Ya Handz Up」がDS455の代表曲のひとつとして確固たる地位を築いていることを証明しています。
技術的側面
楽曲構成
比較的ゆったりとしたテンポながら、重厚な低音とハードなビートが印象的な楽曲です。
プロデュース面
DJ PMXによるプロデュースは、G-FUNKの要素を取り入れながらも、日本独自のウェッサイスタイルを確立しており、アメリカ西海岸のオリジナルとは異なる魅力を持った楽曲に仕上がっています。
横浜ウェッサイシーンでの位置づけ
シーンへの貢献
横浜は「045」という市外局番で知られ、「日本のヒップホップの初期から西海岸スタイルとして知られている」地域であり、DS455はその中心的存在として活動してきました。「Throw Ya Handz Up」は、そんな横浜ウェッサイシーンの結晶として制作された楽曲です。
文化的意義
この楽曲は単なるパーティーソングを超えて、横浜という地域のヒップホップ文化を代表する作品として、地域アイデンティティの表現という側面も持っています。
おわりに
DS455「Throw Ya Handz Up」は、2005年の日本ヒップホップシーンにおいて、フロア直行型のハードなパーティーアンセムとして大きなインパクトを与えた楽曲です。横浜ウェッサイシーンの重鎮としてのDS455の実力を存分に発揮した本作は、重厚な低音とKayzabroの熱いラップ、そしてDJ PMXの卓越したプロデュースが見事に融合した傑作として、現在でも多くのヒップホップファンから愛され続けています。
パーティーシーンでの盛り上げ方を教える楽曲として、またBAY BLUES RECORDZの重要なリリースとして、そして日本のウェッサイスタイルの到達点のひとつとして、「Throw Ya Handz Up」は日本のヒップホップ史において重要な位置を占める作品と言えるでしょう。
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