G.U.N ~Ganxstaz Unusefull Nack~(feat.小舞)

JAPANESE

楽曲について

「G.U.N ~Ganxstaz Unusefull Nack~」は2005年7月20日リリースのシングル「Original Zenius〜THE DARKSIDE」の3曲目に収録された楽曲で、シンガー小舞(KOMAI)をフィーチャーしている。作曲はDJ 034、Growth、KOMAI、Mr.OZの共同名義で、収録時間は4分31秒。

この曲について、音楽ショップOTAI RECORDのレビューには「DJ 034&GROWTHのギターが響く気持ちいいトラックに、優しくも愛を語る……聴けば聴くほど本当のリリックの意味が分かっていく、これぞHIP HOPの醍醐味が十分楽しめる奇跡の名作!何の事を歌っているか理解した時に鳥肌が立ちまくるでしょう!」という評が残されている。

これは重要な証言だ。この楽曲には、最初の一聴では気づかない「層」がある。表面は愛の歌のように聴こえるが、歌詞を丁寧に解読していくにつれ、「G.U.N」というタイトルの意味が別の次元で立ち上がってくる仕掛けが施されている。ギャングスタ・ラップの語法で「銃」と「愛」を重ね合わせ、どちらとも読めるように書かれた二重構造──それがこの曲の核心だ。

「Ganxstaz ain’t no love…」という小舞のフレーズは一見ギャングは愛を必要としないという宣言のように聴こえるが、続くMr.OZのラップの文脈と照らし合わせることで、そのメッセージはより複雑な意味をまとう。愛を持てないはずの男が、実は誰よりも深く何かを必要としている──そのパラドックスこそがこの楽曲の真髄だ。


「Original Zenius〜THE DARKSIDE」── 前作と対をなすシングル

「Original Zenius〜THE DARKSIDE」はMr.OZのソロ・プロジェクト第2弾となるシングルで、「Over Z sizeの頭文字をとったミスター・オーズィー(MR.OZ)はその名のとおり、日本で一番であろう体格の持ち主のヒップホップ・アーティスト。本シングルは前作と同トラックを流用、さまざまな仕掛けを凝らした意欲作」とCDジャーナルに評されている。

タイトルにあるとおり、これは前作「Original Zenius」のダークサイドに相当する作品だ。前作「Original Zenius」(2005年10月14日リリース、4曲収録)と今作「THE DARKSIDE」は、2枚で1つのストーリーを構成するコンセプトで設計されている。1曲目のINTRO-DA-ACTIONから始まり、2曲目はM.O.S.A.D.の”E”qualプロデュースによるシリアスな楽曲「TEARFULL SMILE」、そして3曲目に「G.U.N.〜GANXSTAZ UNUSEFULL NACK〜」が配置されている。

HMVのコメントには「Phobia of Thug、Calusari、Pound、Murder They Fall、24-7TV、全てのシーンを動かし続ける052の奇才が放つシングル第2弾!」と記されている。ここに列挙されたグループや企画の名前が、当時のMr.OZが関わっていたシーンの広さをそのまま物語っている。


小舞(KOMAI)── 名古屋052シーンのシンガー

「G.U.N.」のフィーチャリングを担当した小舞(KOMAI)は、BIGG MAC RECORDSが発掘・輩出したシンガーだ。「G.U.N.~Ganxstaz Unusefull Nack~」にフィーチャリングしているシンガーとしてその名を広く知られるようになった。

小舞の存在感はこの一曲にとどまらず、BIGG MAC RECORDSのスペシャル・コンピレーションアルバム「BIGG MAC VALUE SET II」(2007年1月リリース)にはMr.OZの名曲「G.U.N.〜Ganxstaz Unusefull Nack〜」と並んで、小舞のソロ曲も1曲収録されている。

Mr.OZとのコラボレーションはこの「G.U.N.」にとどまらず、後に「It’s Been Too Long feat. KOMAI」という楽曲も生まれており、二人の関係がこの一曲の偶然の産物ではなく、継続的な音楽的連帯によって育まれてきたことがわかる。

「G.U.N.」における小舞のボーカルは、Mr.OZのヘビーで低音のラップとの対比において際立って機能している。柔らかく、時に憂いを帯びたそのフックが、歌詞の二重性を音として体現しているからだ。


Mr.OZとソロワーク── BIGG MAC WORKSへの道

Mr.OZは1993年よりヒップホップアーティスト・ラッパーとして活動を始め、DJ MOTOを師事し、1996年にPhobia of Thugを結成した。その体から生み出される声は時に低く、時に高く、ハードコアバンドのボーカルもたじろぐほど激しく独特だ。また日本人らしからぬその言葉運びは某雑誌で討論されるほど賛否両論を呼んだが、それをおおいに上まわるスキルとポテンシャルの高さは誰もが認めるところだ。

1998年にはGANG TERRORIST PRODUCTIONを設立。以降a.k.a.(またの名を)BIGGMACと名乗り、数々のアーティストのCDジャケットデザイン・アートワーク、音楽プロデュース、テレビ番組、イベント等を手がけるようになる。

2005年には自身の手により会社「BIGG MAC WORKS」を設立。スタジオ、レーベル、クラブ、飲食店等を展開させ、名古屋どころか日本中を巻き込み動かし始めた。同年、ソロ・アーティストとしての活動も開始し、即座にシングル2枚とアルバムをリリース。「G.U.N.〜GANXSTAZ UNUSEFULL NACK〜」はまさにそのBIGG MAC WORKSの最初期を代表する楽曲のひとつだ。


「Ganxstaz Unusefull Nack」という意味

「G.U.N.」の副題「Ganxstaz Unusefull Nack」という言葉は、一見すると「ギャングスタの役に立たないコツ(習慣)」という意味に見える。しかし「GUN」という三文字の頭文字を分解すれば、Ganxstaz / Unusefull / Nackという三つの単語が並ぶ。この言葉遊びがそのまま楽曲の二重構造を示している。

「銃」という言葉を直接使わず、しかし確実に「銃」を連想させる──ヒップホップが長年磨いてきたダブルミーニングの技法を、Mr.OZは日本語と英語を混在させたフィールドで巧みに駆使している。「Ganxstaz ain’t no love」というフックが「ギャングスタに愛はない」と聴こえながら、同時に「銃に愛はない」とも聴こえる構造。その二つの読みが交差する地点に、この楽曲の真の意図が宿っている。

「聴けば聴くほど本当のリリックの意味が分かっていく」というレビューの言葉は、まさにこの多重性を指している。一度聴いて終わる曲ではなく、理解が深まるたびに新しい表情を見せる、まさにヒップホップの醍醐味を体現した楽曲だ。


ベスト盤とシングルコレクションへの収録

2009年4月リリースのベストアルバム「BIGG MAC WORKS」(2CD+DVD、初回生産限定盤)には「G.U.N.〜Gannxtaz Unuseful Nack〜 feat. 小舞」が収録されており、Mr.OZが自ら厳選した代表曲として正式に位置づけられている。同アルバムにはOriginal Zenius feat. AK-69、MACHACO、Dear… feat. 拳太、Scarcrow -カカシ- feat. CITY-ACEなど、Mr.OZのキャリアを俯瞰する楽曲が並ぶ。

「G.U.N.」がベスト盤に選ばれたという事実は、Mr.OZ自身がこの楽曲を自らのキャリアを代表するものとして認識していることを示している。ソロ活動第一期の、最も研ぎ澄まされた表現がこの曲に詰まっていると言えるだろう。


まとめ

「G.U.N ~Ganxstaz Unusefull Nack~ feat. 小舞」は、Mr.OZというラッパーが持つ才気の最良の一面を凝縮した楽曲だ。ギタートラックの心地よさ、小舞のボーカルの柔らかさ、そしてMr.OZのラップに埋め込まれた二重の意味──それらが互いを高め合い、何度聴いても新しい発見がある稀有な一曲に仕上がっている。

「何の事を歌っているか理解した時に鳥肌が立つ」という評は誇張ではない。まず表面の音を楽しみ、次に歌詞を読み込み、そして「G.U.N」という三文字の意味を自分なりに咀嚼してみてほしい。その瞬間、この曲は単なるヒップホップトラックから、ひとつの文学的仕掛けを持った作品へと変貌する。それがMr.OZの言う「Original Zenius(本物の天才)」の証だ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました