2020年11月、DJ PMXのアルバム『THE ORIGINAL IV』から、ヒップホップシーンを熱く盛り上げるパーティーチューンが誕生した。それが「House Party feat. KOWICHI, JAGGLA, HI-D」である。川崎のカリスマKOWICHI、大阪・高槻のボスJAGGLA、そしてシーンの重鎮R&BシンガーHI-Dという、関東と関西のトップクラスのラッパーとシンガーが一堂に会したこの楽曲は、聴く者を思わずパーティーに誘い込む、まさにフロアアンセムとなっている。
DJ PMXが創り出すパーティーサウンド
DJ PMXは、1980年代後半から日本のヒップホップシーンを牽引してきたレジェンドプロデューサーである。ウエストコーストスタイルのサウンドメイキングを得意とし、数多くのヒット曲を世に送り出してきた。
「House Party」は、アルバム『THE ORIGINAL IV』の4曲目に収録されており、アルバムの中でも特にエネルギッシュでパーティー感あふれる楽曲となっている。DJ PMXとHI-Dの共同作曲による本作は、ハードなビートとキャッチーなメロディが絶妙に融合し、クラブやライブで盛り上がること間違いなしの仕上がりだ。
KOWICHI―川崎が誇るカリスマラッパー
KOWICHIは、1984年5月1日生まれ、神奈川県川崎市出身のラッパーである。ヒップホップ激戦区として知られる川崎を代表する存在として、トレンドを取り入れた聞き心地の良いフロウと、若者から大人まで心に響くリリックでシーンを騒がせている。
中学校卒業後は高校に進学せず、洋服屋でアルバイトをしながらラッパーとしての道を歩み始めた。そこで音楽で生活していくことを決意し、D.u.gと共に2MCデュオ「enmaku」を結成。2008年にミニアルバム『The SCREAM』でデビューを果たした。
その後、2012年にソロデビューアルバム『THE CHIPS』をリリースし、ソロアーティストとしての活動を本格化。「BoyFriend #2」や「湘南ビタースイート」といったストリートヒット曲を次々と送り出し、確固たる人気を確立した。2020年12月には自身のレーベル「Self Made」を設立し、さらなる活動の幅を広げている。
タトゥーで覆われた全身と、特に左腕に刻まれた「self made」の文字は、自分で決めた音楽の道で生きていくという強い覚悟の表れだ。また、2015年に発足したアパレルブランド「KSL SUPPLY」のディレクションも務めており、ファッションリーダーとしても若者からの支持を集めている。
JAGGLA―大阪・高槻のストリートラッパー
JAGGLAは、1987年5月29日生まれ、大阪府高槻市出身のラッパーである。大阪の大所帯クルー「TORNADO(竜巻一家)」を結成し、首領として率いる関西ヒップホップシーンの重要人物だ。
中学時代に兄の影響でキングギドラなどのヒップホップに触れ、高校中退後はアメリカ村で働きながらラップを始めた。幼馴染と一緒にライブの話をもらったことがきっかけで本格的にラップを開始し、現場叩き上げのスタイルで頭角を現していった。
先輩ラッパーGAZZILAのサポートMCを務めたことをきっかけに、強烈なキャラクターとヴァイブスでその名を全国に広めた。熱いライブパフォーマンスと胸を刺すような言葉は、全国各地のアーティストやヘッズからの支持を集めている。
2011年にはTORNADO名義で初のミックスCD「TORNADO WARNING」をリリースし、関西圏のCDショップで売り切れ続出となった。2014年にリリースされた2枚目のミックスCD「OUTBREAK」は、iTunesヒップホップチャート1位を獲得し、全国的な人気を確立した。
また、2018年には孫GONGとヒップホップユニット「ジャパニーズマゲニーズ」を結成。シングル「REAL STONER」がバズり、関西を代表するグループへと成長している。SHINGO★西成やANARCHYの次を担う、関西ストリートシーンの現在を代表するラッパーとして認知されている。
MCネームの由来は、パチスロの人気機種「ジャグラー」から。ジャグラーのペカリが大好きなJAGGLAらしいネーミングだ。
HI-D―シーンに欠かせないR&Bシンガー
HI-Dは、東京都西東京市出身のR&Bシンガーソングライター、音楽プロデューサーである。フィンランドのユニット「3rd Nation」の専属ダンスメンバーとして5年間活動した後、日本でシンガーとしての道を選択。2003年にDef Jam Japan初の男性シンガーとして「Girlfriends feat.ZEEBRA」でデビューした。
ダンサブルなステージングと甘く繊細かつ力強い歌声で、ヒップホップシーンのシンガーとしては貴重な存在として注目を集め、フィーチャリングでの作品参加が増え続けている。DJ PMXの楽曲では数多くの作品に参加し、特に「Miss Luxury」や「House Party」など、欠かせない存在となっている。
100曲を超す確固たる客演ワークスで身につけたスキルで、各アーティストの個性やニーズを見極め、歌詞やストーリーに反映させるソングライティング能力は、アーティストからの信頼度も絶大である。
「House Party」が描くリアルなパーティーシーン
楽曲のテーマは、そのタイトル通り「ハウスパーティー」。仲間が集まり、酒を飲み、音楽を楽しみ、朝まで盛り上がる――そんなリアルなパーティーシーンが生々しく描かれている。
KOWICHIとJAGGLAの作詞、DJ PMXとHI-Dの作曲によるこの楽曲は、約2分47秒という短い尺の中に、パーティーの熱気と興奮が凝縮されている。ハードなビートに乗せて、KOWICHIとJAGGLAがそれぞれの地域のパーティーカルチャーを表現し、HI-Dのキャッチーなフックが全体を包み込む。
歌詞には、「絶対にやめられない Let’s get CRAZY on your HOUSE PARTY」「着いたら即カンパイ するから Don’t start it without me」といったフレーズが登場し、パーティーの高揚感が直接的に表現されている。川崎と大阪、それぞれの街のリアルなパーティーシーンが交差し、一つの楽曲の中で見事に融合している。
関東と関西の架け橋
この楽曲の最大の魅力は、関東の川崎を代表するKOWICHIと、関西の大阪・高槻を代表するJAGGLAという、異なる地域のトップラッパーが共演している点だ。日本のヒップホップシーンにおいて、関東と関西は常に異なる独自のカルチャーを形成してきた。
KOWICHIの洗練されたフロウとJAGGLAのハードコアなスタイルが、DJ PMXのウエストコーストサウンドの上で見事に調和している。そして、HI-Dの歌声がそれらを一つにまとめ上げることで、地域を超えた日本のヒップホップの一体感が生まれている。
この楽曲を通じて、DJ PMXは日本全国のヒップホップシーンをつなぐ役割を果たしており、まさにシーンのオリジナルとしての存在感を示している。
アルバム『THE ORIGINAL IV』における位置づけ
「House Party」は、アルバム『THE ORIGINAL IV』において、前曲「Insane In The Brain feat. AK-69, GADORO」に続く4曲目に収録されている。アルバム全体の流れの中で、エネルギーを一気に高める重要な役割を担っている楽曲だ。
アルバムには他にも¥ELLOW BUCKS、DABO、AK-69、GADORO、GOTTZ(KANDYTOWN)、KEN THE 390など、シーンを代表するアーティストから新世代のアーティストまで、多くのラッパーやシンガーが参加しており、その中でも「House Party」は特にライブで盛り上がる一曲として人気を博している。
DJ PMXは一切の妥協を許さず、日本のヒップホップを総括する最高作を目指してこのアルバムを制作した。「House Party」は、その意図を体現する代表曲の一つといえるだろう。
フロアを揺らすパーティーアンセム
「House Party」は、クラブやライブハウス、そしてもちろん実際のハウスパーティーで、間違いなくフロアを熱狂させる楽曲だ。ハードなビート、キャッチーなフック、そしてKOWICHIとJAGGLAの力強いラップが三位一体となり、聴く者を自然と体を動かさずにはいられない状態にする。
パーティーの興奮と解放感を音で表現したこの楽曲は、単なる遊び歌ではなく、仲間と過ごす時間の大切さ、音楽を通じた繋がり、そして人生を楽しむことの重要性を伝えている。ハードな日常から解放され、音楽と仲間と共に最高の夜を過ごす――そんなメッセージが込められているのだ。
まとめ
DJ PMXの「House Party feat. KOWICHI, JAGGLA, HI-D」は、日本のヒップホップシーンにおける最高のパーティーチューンの一つである。関東と関西のトップラッパーが一堂に会し、DJ PMXのプロデュースとHI-Dの歌声が加わることで、地域を超えた一体感と高揚感が生まれている。
レジェンドプロデューサーが創り出すウエストコーストサウンドに、現役トップクラスのラッパーとシンガーが乗ることで、時代を超えて愛されるフロアアンセムが完成した。この楽曲を聴けば、誰もが最高のパーティーに参加しているような気分になれるはずだ。
日本のヒップホップが持つエネルギーと楽しさを存分に味わえる「House Party」。クラブで、ライブで、そして自宅のパーティーで、この曲をかければ間違いなく盛り上がること間違いなし。まさに、現代の日本のヒップホップシーンを代表するパーティーアンセムといえるだろう。

 
  
  
  
  

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