Awich – Link Up feat. KEIJU, ¥ellow Bucks

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はじめに

2022年3月4日にリリースされたAwich(エイウィッチ)のメジャーレーベルデビューアルバム『Queendom』の収録曲「Link Up feat. KEIJU, ¥ellow Bucks」は、日本ヒップホップシーンにおいて地域を越えた繋がりの重要性を歌った楽曲として注目を集めています。この楽曲は沖縄、東京、東海という3つの異なる地域出身のラッパーがコラボレーションした話題作で、その後のミュージックビデオも大きな話題となりました。

楽曲の基本情報

アーティスト: Awich feat. KEIJU, ¥ellow Bucks
プロデューサー: Chaki Zulu
収録アルバム: 『Queendom』
リリース日: 2022年3月4日
レーベル: Universal J(Universal Music Japan)

アーティスト紹介

Awich(エイウィッチ)

浦崎亜希子として1986年12月16日に沖縄県那覇市で生まれたAwichは、現在日本を代表する女性ラッパーの一人です。そのステージネームは本名の漢字「亜希子」を英語に直訳した「Asian wish child」の略として名づけられました。

幼い頃からTupacを偶像視し、Tupacの楽曲で英語を学んだ彼女は、19歳でアトランタに移住し、現地でアメリカ人の夫と結婚、娘をもうけました。しかし夫が収監され、その後釈放後に殺害されるという悲劇を経験し、娘と共に日本に帰国しています。

2017年にYentownに日本初の女性メンバーとして加入し、2020年にUniversal Music Japanとメジャー契約を締結しました。

KEIJU(ケイジュ)

KEIJUは16人組ヒップホップクルーKANDYTOWNのメンバーで、1992年11月17日生まれ、東京都世田谷区出身のラッパーです。以前はJunk a.k.a. JuJu The Beats、Juju Tha B、Juju Tha Blunt、YOUNG JUJUなどの名義で活動していました。

KANDYTOWNのメンバーの中でも、フォトジェニックなルックスとメロウなボイスで際立った存在感を放つラッパーとして知られています。2018年にソニー・ミュージックレーベルズからメジャーソロデビューを果たし、名義をKEIJUに変更しました。

¥ellow Bucks(イエローバックス)

1996年8月5日生まれ、本名坂口和の¥ellow Bucksは、岐阜県高山市(飛騨高山)出身のラッパーです。別名「ヤングトウカイテイオー」として知られ、東海地方を代表する若手ラッパーとして活動しています。

2019年に「ラップスタア誕生 Season 3」で優勝を勝ち取り脚光を浴びて以来、高次元で自身名義作品のリリースを重ねています。このキャッチコピーは、かつて東海地方を代表していたラッパー「TOKONA-X」が名乗っていた「トウカイテイオー」にちなむもので、東海地方への深い愛情を表現しています。

プロデューサー Chaki Zulu

『Queendom』アルバムは主にChaki Zuluによってプロデュースされており、「Link Up」も彼の手による作品です。Chaki ZuluはYentownのリーダー兼プロデューサーとして、Awichの音楽的パートナーとして重要な役割を果たしています。

楽曲のテーマとメッセージ

「Link Up」は、沖縄出身のAwich、東京出身のKEIJU、東海出身の¥ellow Bucks、MVの中には3人のリリックに登場するそれぞれのフッドをレップする盟友やクルーの仲間が登場する楽曲として、地域を越えた日本ヒップホップシーンの結束を象徴する作品となっています。

楽曲のタイトル「Link Up」が示すように、この楽曲は異なるバックグラウンドを持つアーティストたちが「繋がる」ことの重要性を歌っています。東西南北、それぞれの地域が持つ独自の文化やストーリーを尊重しながらも、ヒップホップという共通言語によって一つになることができるというメッセージが込められています。

ミュージックビデオ

2022年4月4日22時に公開されたミュージックビデオは、武道館公演の演出も手がけた山田健人が監督を担当しました。全編フィルムで撮影された映像には、楽曲に参加した3人のアーティストだけでなく、それぞれの地域を代表する多くのラッパーが友情出演しています。

出演アーティスト

沖縄勢: OZworld、CHICO CARLITO、唾奇、DAIAに加え多数の仲間たち

東京勢: KANDYTOWNのIO、そして今回監督も務める盟友山田健人

東海勢: AK-69、DJ RYOWをはじめ、To The Top Gangの仲間

このMVは「エリア、時代を超えたリスペクトによって繋がったストーリーが詰まる、HIPHOPのクラシックとなっていくであろう名曲」として評価されています。

アルバム『Queendom』での位置づけ

『Queendom』はAwichのメジャーレーベルデビューアルバムとして2022年3月4日にUniversal Jからリリースされ、Oricon Daily Albums chartで8位でデビュー・ピークを記録しました。

「Link Up」は13曲入りのアルバムの11曲目に収録されており、アルバム全体のクライマックス的な位置を占めています。アルバムには他にも「GILA GILA feat. JP THE WAVY, YZERR」「やっちまいな feat. ANARCHY」などの客演楽曲が収録されていますが、「Link Up」は特に地域性と連帯感を重視した楽曲として際立っています。

日本ヒップホップシーンにおける意義

この楽曲は、日本のヒップホップシーンにおいて地域性を重視しながらも、全国的な結束を促進する重要な作品として位置づけることができます。従来、日本のヒップホップは東京中心の文化として発展してきましたが、近年は各地域固有の文化や言語を活かした多様な表現が注目されています。

Awichの沖縄、KEIJUの東京、¥ellow Bucksの東海という3つの異なる地域の代表的なアーティストがコラボレーションすることで、日本ヒップホップの多様性と統一性を同時に表現した画期的な楽曲となっています。

まとめ

「Link Up feat. KEIJU, ¥ellow Bucks」は、単なるコラボレーション楽曲を超えて、日本ヒップホップシーンの現在と未来を象徴する重要な作品です。Chaki Zuluの巧みなプロデュースワークと山田健人の映像演出により、音楽的にも視覚的にも完成度の高い作品として仕上がっています。

この楽曲が示すように、日本のヒップホップは地域の個性を大切にしながらも、全国的な連帯と相互理解を深めていく方向に向かっています。

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