楽曲概要
アーティスト: TWIGY feat. Zeebra & RINO
プロデューサー: dj honda
リリース日: 2023年4月20日(O.G. Remix)
収録アルバム: RAPATTACK(2022年11月16日)
レーベル: GOD INK ENTERTAINMENT®
楽曲の背景と意義
「CLASSIC feat. Zeebra & RINO (O.G. Remix)」は、日本のヒップホップシーンの黄金期を代表する3人のレジェンドラッパーと、世界的に評価されるプロデューサーdj hondaが織り成す、まさに”クラシック”な1曲です。
この楽曲は、TWIGYとdj hondaによる奇跡のジョイント・アルバム『RAPATTACK』(2022年)からのリード・トラックのリミックス版として制作されました。楽曲には客演として、TWIGYと同じく伝説的楽曲「証言」への参加経験を持つキングギドラのZeebraと雷のRINOが迎えられています。
アーティスト紹介
TWIGY(ツイギー)
愛知県出身。刃頭とのBEATKICKS、MUROとのMICROPHONE PAGER、雷、そしてLAMP EYEの「証言」、「悪名」といった重要グループ/楽曲への参加など、その独特の歌唱法と高いラップ・スキルで常にシーンの最前線で活躍する国産ヒップホップのオリジネーターです。
主な経歴:
- 1987年:刃頭と共にBEATKICKSを結成
- 1992年:MUROらとMICROPHONE PAGERを結成
- 1994年:YOU THE ROCK☆、RINO LATINA II、G.K.MARYANらとともに雷を結成
- 1995年:LAMP EYEの「証言」に参加
- 1997年:イスラム教に改宗
- 1998年:1stソロアルバム『AL-KHADIR』をリリース
Zeebra(ジブラ)
キングギドラの中心メンバーとして、また日本のヒップホップシーンの旗振り役として活躍してきた日本語ラップ界の重鎮。1971年生まれでTWIGYと同年代、日本語ラップの歴史を語る上で欠かせないアーティストです。
RINO(現RINO LATINA II)
雷のメンバーとして活動し、LAMP EYEの「証言」では証言1を担当した伝説的ラッパー。日本のヒップホップシーン黎明期から第一線で活躍し続けています。
プロデューサー dj hondaについて
本名:本田勝裕、北海道出身。日本が世界に誇るヒップホップDJ・プロデューサーです。
輝かしい経歴:
- 1992年:ニューヨークのDJ Battle World Supremacyで準優勝(日本人初の快挙)
- 1995年:ソニーミュージックと契約、1stアルバム『dj honda』をリリース
- 1997年:「Travellin’ man」でアジア人として初めてビルボードチャート(ラップ部門)にランクイン
- 1999年:自身のレコードレーベル dj honda RECORDINGSを設立
dj hondaは、ファット・ジョー、コモン、DJプレミア、レッドマン、モス・デフ、KRS-Oneなど、アメリカの一流ヒップホップアーティストたちとのコラボレーションを成功させた、アメリカで認められた唯一の日本人DJとしての地位を確立しています。
楽曲の制作背景
アルバム『RAPATTACK』の誕生
この楽曲の原型となった『RAPATTACK』は、TWIGYが約10年ぶりとなった前作『WAKING LIFE』(2021年)から1年というスピードでリリースされた完全新録アルバムです。
制作過程について、TWIGYは「僕が脳内ドラムに書きためていたリリックがあって、それをストリートのヒップホップの音にしたいなと思って。でも自分で作るのは大変だし、いろいろな人にオファーするのは時間がかかるなと思っていたところに、(dj)hondaさんとやらないかっていう話がちょうどあって。」と語っています。
実際の制作は、TWIGYがdj hondaの札幌のスタジオに2週間滞在し、毎日1曲ずつ録音するという集中的なセッションで行われました。
音楽的特徴
90年代黄金期のフレイバー
楽曲は「dj hondaが手掛ける90’Sヒップホップ、黄金時代のフレイバーが濃厚な揺るぎないビート」を背景に、3人のラッパーがそれぞれの持ち味を活かしたスピットを披露しています。
dj hondaの音楽的アプローチについて、ブーンバップはもちろん、オールドスクール、イーストコースト、ハードコア、果てはダンス・クラシックまで多種多彩なアプローチが評価されており、この楽曲でもその真骨頂が発揮されています。
「証言」との繋がり
この楽曲が特別な意味を持つのは、参加した3人のアーティスト全員が、1995年にリリースされた日本語ラップの金字塔「証言」に関わっているからです。
「証言」は、LAMP EYEのRINO、DJ YAS、GAMAによって制作され、YOU THE ROCK★、G.K. MARYAN、ZEEBRA、TWIGY、DEV LARGEがフィーチャリングされた楽曲で、「日本語ラップ不朽の名作」として現在も語り継がれています。
TWIGYと同じく「証言」へ参加していた、キングギドラのZeebraと雷のRINOの両者を迎えた今回の楽曲は、まさに90年代からのリスナーには当時の情景をも思い出させる顔役が揃い踏みした文字通り、クラシックな奇跡の1枚となりました。
アートワークとビジュアル
楽曲のアートワークは、ILLMARIACHI『THA MASTA BLUSTA』や1999年にZeebra、TWIGY、DEV LARGEを採用し話題となったNikeバスケットボールの日本版のTVCMでもおなじみの若野桂によるものです。
ミュージックビデオの監督は、表題曲「RAPATTACK」をはじめ「LUCY」も手がけたTomohiro “HAMA” Hamamuraが担当しました。
商品展開
楽曲は限定生産の7インチレコードとしても発売され、A面に「CLASSIC feat. Zeebra & RINO (Produced by dj honda)」、AA面に「CLASSIC feat. Zeebra & RINO (O.G. Remix)」を収録。コレクターアイテムとしても高い価値を持っています。
文化的インパクト
世代を超えたヒップホップの架け橋
この楽曲は、単なる楽曲リリースを超えて、日本のヒップホップシーンにおける世代間の架け橋としての役割を果たしています。90年代からのリスナーには懐かしさと新鮮さを、若い世代には本格的なヒップホップの醍醐味を伝える作品となっています。
“Back to Basic”のメッセージ
アルバムのキャッチコピーでもある「Back to Basic!!!」が示すように、この楽曲は現代のヒップホップシーンに対して、原点回帰の重要性を訴えかけています。TWIGYは楽曲について「こういうのをラップって言うんだぞっていう。色んな意味でそういうことだね。」と語っており、真のヒップホップとは何かを問いかける作品でもあります。
現代における意義
日本ヒップホップの系譜
「CLASSIC」というタイトルが示すように、この楽曲は日本のヒップホップシーンの歴史と系譜を体現した作品です。MICROPHONE PAGER、雷、LAMP EYEという日本ヒップホップ史に名を刻むユニットのメンバーが一堂に会した点で、歴史的価値を持つ楽曲といえます。
技術的完成度
dj hondaの30年以上にわたるキャリアの中で培われたビートメイキング技術と、各ラッパーの円熟したスキルが融合した本作は、技術的にも高い完成度を誇っています。特に「90年代からのリスナーには当時の情景をも思い出させる」と評される音作りは、nostalgia(郷愁)と contemporary(現代性)を両立させた稀有な作品です。
まとめ
「CLASSIC feat. Zeebra & RINO (O.G. Remix)」は、日本のヒップホップシーンの黄金期を支えたレジェンドたちが再び集結し、現代に蘇らせた珠玉の1曲です。単なる楽曲を超えて、日本ヒップホップの歴史そのものを体現した文化的遺産としての価値を持つ作品といえるでしょう。
TWIGY×dj honda×Zeebra×RINOという奇跡の面子による話題の1曲は、「世代も時代も超えて”ヒップホップ・ヘッズ”の首を振らせること間違いなし」の傑作として、日本のヒップホップシーンに永続的なインパクトを与え続けています。
この楽曲を聴くことで、90年代の熱量と現代の技術が融合した、まさに”クラシック”な日本ヒップホップの真髄に触れることができるのです。
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